オーストラリア留学を考えている方の中で、オーストラリア英語のなまりが気になるという方はいませんか?
この記事では、オーストラリア英語の歴史や、発音・イントネーション・スペル表記・短縮表記・スラングなどの特徴について詳しくご紹介していきます。
オーストラリア英語の歴史
オーストラリア英語は、イギリス英語の影響を受けて現在のオーストラリア英語へと変化しました。
オーストラリアには、アボリジニという先住民族が暮らしていて独自の文化や言語を築いていました。しかし、1770年にイギリス人の冒険家キャプテン・ジェームス・クックがオーストラリアに到着してから、オーストラリアではイギリス人による植民地支配が始まり、多くのイギリス人がオーストラリアに移住し始めました。
イギリス人による植民地支配を最初に受けたことで、現在のオーストラリア英語はイギリス英語が基本となっています。そして、アボリジニやそのほかの移民の言語の影響を受けながら、現在の独特なオージーイングリッシュと呼ばれるオーストラリア英語に変化していきました。
オーストラリア英語の主要3種類のアクセント
先住民アボリジニや、さまざまな英語のなまりを持つ人々がオーストラリアに移住して来たことにより、オーストラリア英語は以下の3種類のアクセントに分類されます。
- Cultivated Australian Accent
- Broad Australian Accent
- General Australian Accent
以下で、詳しく解説していきます。
Cultivated Australian Accent
Cultivated Australian Accentの特徴は、以下の通りです。
- オーストラリア人口の約10%が話し、ほとんどが女性
- 最も上品で、階級や教養が高いことを示すアクセント
- イギリス英語の伝統的な標準発音の「Received Pronunciation」と共通する部分がある
- 使う人は急激に減少中
- セクシーに聞こえる
Broad Australian Accent
Broad Australian Accentの特徴は、以下の通りです。
- オーストラリア人口の約10%が話し、ほとんどが男性
- 世界中の英語ネイティブ話者が思うTheオーストラリアなまり
- 田舎で一般的に使われているなまり
- クイーンズランド州でよく使われていて「Typical Queensland Accent」ともいう
- オーストアリア東海岸では北に行くほどこのアクセントは多い
General Australian Accent
General Australian Accentの特徴は、以下の通りです。
- オーストラリア人口の約8割が話す
- 最も一般的で公共の場で広く使われているオーストラリアなまり
- 都心に住む人々の主流アクセント
- 映画やテレビ、広告などで使われる標準的なアクセント
- シドニーの若年層に広まっている
オーストラリア英語の特徴
オーストラリア英語の特徴を、発音・イントネーション・スペル表記・短縮表記・スラングに分けて詳しく解説していきます。
オーストラリア英語の発音
オーストラリア英語の発音には、以下の5つの特徴があります。
- rは舌を巻かずにah(アー)と発音する
- aはai(アイ)と発音する
- iはoi(オイ)と発音する
- caはカと発音する
- 語末の「g」「t」「k」は発音しない
以下で、詳しく解説していきます。
rは舌を巻かずにah(アー)と発音する
オーストラリア英語では、「r」の発音は舌を巻かずに、「ah(アー)」と舌を伸ばして発音します。rの発音をしないことはr-lessやnon-rhoticとも言われています。そのため、日本人が発するカタカナ発音に近いです。
アメリカ英語では、rは舌を巻いて発音します。
aはai(アイ)と発音する
オーストラリア英語では、「a」を「ア」や「アイ」と発音します。例えば、Todayをトゥダイ、faceをファイスと発音します。
アメリカ英語では、aは「エ」や「エイ」と発音します。
iはoi(オイ)と発音する
オーストラリア英語では、「i」をoi「オイ」と発音します。例えば、likeをラォイク、rightとラォイトと発音します。
アメリカ英語では、iは「アイ」と発音します。
caはカと発音する
オーストラリア英語では、「ca」を「カ」と発音します。例えば、can’tを「カーント」、castleを「カッスル」と発音します。
アメリカ英語では、caは「キャ」と発音します。
語末の「g」「t」「k」は発音しない
オーストラリア英語では、語末の「g」「t」「k」は発音しません。例えば、thinkingを「スィンキン」、documentを「ドキュメン」、weekを「ウィーッ」と発音します。gとtの音は完全に消えますが、Kの音はクの息だけを出す音になります。
アメリカ英語では語末の「g」「t」「k」は発音します。
語中のTをはっきりと発音する
アメリカ英語では母音の間にある「t」は「d」「r」のように発音しますが、オーストラリア英語では「t」をはっきりと発音します。例えば、letterはアメリカ英語では「レラー/レダー」ですが、オーストラリア英語では「レター」と発音します。
オーストラリア英語のイントネーション
肯定文の場合でも、オーストラリア英語の文末はイントネーションが上昇します。これは、「Australian Question Intonation(AQI)」や「high-rising terminal(HRT)」と呼ばれています。
以下の動画では、オーストラリアのコメディアンであるAdam Hillsさんが、スピーチ冒頭で文末のイントネーションを上げているのがわかります。彼によると、オーストラリア人が文末でイントネーションを上げるのは、「自信が持てずにはっきり言えないから」や「相手に認めてほしい」という理由があるとのことです。
オーストラリア英語のスペル表記
オーストラリア英語とイギリス英語のスペル表記はほとんど同じですが、アメリカ英語とは異なります。オーストラリア英語の独特なスペル表記は、主に次の4つがあります。
- erをreとスペル表記する
- orをourとスペル表記する
- izeをiseとスペル表記する
- lingをllingとスペル表記する
以下で、詳しく説明していきます。
erをreとスペル表記する
オーストラリア英語では、「er」を「re」とスペル表記します。reの単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語・イギリス英語 | アメリカ英語 |
centre | center |
theatre | theater |
colour | color |
harbour | harbor |
favourite | favorite |
orをourとスペル表記する
オーストラリア英語では、「or」を「our」とスペル表記します。ourの単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語・イギリス英語 | アメリカ英語 |
labour | labor |
honour | honor |
colour | color |
harbour | harbor |
favourite | favorite |
ただし例外もあり、オーストラリア労働党の正式表記である「Australian Labor Party」では、アメリカ英語のスペル「Labor」が使われています。ALPが採用された1912年のオーストラリア労働党は、アメリカの労働運動に影響を受けていたので「Labour」ではなく「Labor」が使われています。
izeをiseとスペル表記する
オーストラリア英語では、「ize」を「ise」とスペル表記します。iseの単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語・イギリス英語 | アメリカ英語 |
organise | organize |
analyse | analyze |
nationalise | nationalize |
realise | realize |
recognise | recognize |
lingをllingとスペル表記する
オーストラリア英語では、「ling」を「lling」とスペル表記します。llingの単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語・イギリス英語 | アメリカ英語 |
cancelling | canceling |
counselling | counseling |
travelling | traveling |
modelling | modeling |
fuelling | fueling |
オーストラリア英語の短縮表記
オーストラリア英語には多くの短縮表記があり、主に次の4つのタイプのものがあります。
- 「a」を使った短縮表記
- 「o」を使った短縮表記
- 「ie」を使った短縮表記
- 「y」を使った短縮表記
以下で、詳しく説明していきます。
「a」を使った短縮表記
オーストラリア英語の「a」を使った短縮表記の単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語 | 元の形 |
Macca’s | McDonald’s |
sanga | sandwich |
cuppa | cup of tea |
yakka | work |
tomorra | tomorrow |
「o」を使った短縮表記
オーストラリア英語の「o」を使った短縮表記の単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語 | 元の形 |
arvo | afternoon |
roo | kangaroo |
agro | aggressive |
defo | definitely |
tenno | tennis ball |
「ie」を使った短縮表記
オーストラリア英語の「ie」を使った短縮表記の単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語 | 元の形 |
barbie | BBQ |
brekkie | breakfast |
mossie | mosquito |
postie | postman |
Aussie | Australian |
「y」を使った短縮表記
オーストラリア英語の「y」を使った短縮表記の単語例は、以下の通りです。
オーストラリア英語 | 元の形 |
choccy | chocolate |
biccy | biscuit |
footy | football |
exxy | expensive |
chewy | chewing gum |
オーストラリアならではの英語のフレーズ・言い回し・スラング
オーストラリアならではの英語のフレーズ・言い回し・スラングを、以下でいくつかご紹介します。
オーストラリア英語 | 元の形 |
G’day, mate | Hello |
No worries | You’re welcome/It’s okay |
Ta | Thank you |
sweet as | Ok/awesome/great/very good |
Heaps good | very good |
Good on you | well done |
It’s my shout/I’ll shout today | It’s on me |
bloody | very |
How are you going? | How’s it going? |
レストランやホテルで覚えておきたいオーストラリア英語
留学や旅行でオーストラリアに行くときに、レストランやホテルで覚えておきたい単語を、以下で3つご紹介します。
BYO
BYOは「Bring your own」の略称で、レストラン内に自分のワインやビールなどを持ち込みできます。
オーストラリアでアルコールを提供したい飲食店はライセンスが必要になり、ライセンスを持っていない店の中には、BYOの看板を出して酒類の持ち込みを許可しているところがあります。
Smoking free
Smoking freeとは「禁煙」という意味です。
「Smokingがfreeだからタバコは吸ってもいい」と日本人の多くの方が勘違いします。Free smokingであれば、タバコを吸ってもいいという意味になりますが、その対象の意味になります。喫煙者の方は注意しましょう。
Ground floor
Ground floorは「地上1階」という意味で、アメリカ英語では1st floorになります。
日本の1階はオーストラリアでは「Ground floor(GF)」で、2階は「1階」になります。
オーストラリア英語に関するおすすめの本
オーストラリア英語に関するおすすめの本は、以下の2つです。
オーストラリア英語の訛りを気にする前に英語力をつけよう
ここでは、オーストラリア英語の歴史や、発音・イントネーション・スペル表記・短縮表記・スラングなどの特徴について詳しくご紹介しました。
オーストラリア英語はイギリス英語から影響を受けていて、そのほかの移民の言語の影響を受けながら現在のオージーイングリッシュが誕生しました。そのため、発音がイギリス英語と似ています。
また、留学でオーストラリアの発音なまりがついてしまうと不安になる必要はありません。オージーの訛りがつくというよりかは、日本語のなまりをとれない方が多いと思います。もし訛りがついてしまった場合は、それは英語にたくさん触れた証なので、自分を誇りに思いましょう。